Do Repro! 男性不妊応援ブログ

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どんな精子を使う? 射出 v.s.精巣、新鮮 v.s 凍結融解

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射出精子とは射精によって出した精子のことです

顕微授精(ICSI)に使用する精子には、大きく分けて、射出精子精巣精子(TESE、手術で取り出します)があります。また、新鮮(取れ立ての フレッシュのまま使用する)か凍結融解(いったん凍結して、採卵の日に融解する、frozen, cryo)の方法があり、この2種類の組み合わせで、4パターンになります。

凍結融解することによるメリットは、採卵=ICSI の日と採精の日を別にできることです。

卵子を凍結融解することにするともう少しバリエーションが増えます)

 

顕微授精(ICSI)をするのはどの精子がいいのか

今回紹介する論文は、極少数の精子が得られる場合、どのようなパターンがよいかを検討したものです。

極小精子症(cryptozoospermia)あるいは非閉塞性無精子症と診断された患者において新鮮射出精子凍結融解射出精子あるい は精巣精子を用い ICSI を施行し、その結果を比較した。 1999~2011 年において 274 名の患者を対象に後方視的コホート研究を行った。 103名の患者は非閉塞性無精子症であったため TESE を施行した。

 171人の初めての治療では・・

171 名 の患者は極小精子症(cryptozoospermia)と診断された。それぞれの方法を用いて、初回周期の ICSI の結果を精巣精子射出精子、 また凍結融解精子新鮮精子で比較を行った。凍結精巣精子を用いた群は 48 周期、 新鮮精巣精子を用いた群は 22周期、凍結射出精子を用いた群は 66 周期、新鮮射出精子を用いた群は 138周期であった。

 

つまり、

  1. TESEを行って、いったん精子を凍結し、後日融解して 、ICSIを行った群 48周期
  2. TESEを行って、当日ICSIを行った群 22周期
  3. マスターベーションで採取し、いったん精子を凍結し、後日融解してICSIを行った群 66周期
  4. マスターベーションで採取し、当日ICSIを行った群 138周期

に分けて検討しました。(重複あり)

 

結果は?

新鮮射出精子群においては凍結融解射出精子群よりも運動精子率は有意に高くそれぞれ 96% と 88% であった。また、新鮮射出精子群においては凍結融解射出精子群と比較し受精率は有意に高く、それぞれ 64% と 56% であった。

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つまりマスターベーションで得た精子の場合は、

上記の3よりも4のパターン、当日のフレッシュな精子を使う ICSI がよかったということです。

論文のつづきです↓

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新鮮精巣精子群と凍結融解精巣精子群において ICSI に利用可能な運動精子を認めた割合はそれぞれ 64%と62% 、受精率はそれぞれ52% と 49% で、いずれも統計的有意差は認められなかった。

(訳 IMT college テキストより引用)

Does cryopreservation of sperm affect fertilization in nonobstructive azoospermia or cryptozoospermia? 

Fertil Steril. 201 7 May; !07(5):1148 1152

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これは、TESEの手術をする1と2の比較では、凍結してもフレッシュのままでも、それほど結果はかわらなかったという結論でした。

まとめ

この論文では、極少精子症(cryptozoospermia)の患者さんのICSIでは、当日のフレッシュな精子が凍結融解する方が受精率が高かったが、TESEを行う場合では、フレッシュでも凍結融解しても結果はほとんど変わらなかったと結論しています。

 

 

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