精液検査の方法をご存知ですか?
実は精液検査の方法って、病院によって異なるんです。
WHOマニュアルや日本のガイドラインではヒトの目視による方法が推奨されておりますが、最近ではコンピューター支援精子解析システムを用いた精液検査(Computer-aided sperm analysis、略して“CASA”と言います)を行っている病院やクリニックも多いのではないでしょうか。
精液検査の具体的な方法については男性不妊バイブルにあります。
人間の目 vs. コンピュータ
ヒトの目視がよいのか、コンピューターによる解析がよいのか、それぞれメリットとデメリットがあります。下の表に簡単にまとめてみました。
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目視による精液検査 |
CASA |
メリット |
信頼性が高い 精子以外の夾雑物を判定できる |
客観的な検査である 詳細な運動解析が施行可能 |
デメリット |
主観的な検査である 詳細な運動解析は不可能 |
夾雑物を判別できず誤差が生じる 機械によって結果が異なる |
CASAでは目視による方法と違って、客観性を担保することができ、精子の運動解析を行うことができます。これらの解析が受精能などの精子機能の予測になるとする報告もありますが、一番のデメリットは精子に近い夾雑物(簡単に言うと“ゴミ”)を判定できない場合があることです。
このため、目視での精液検査とCASAでは、精子濃度が大きく異なるということがしばしば起こります。コンピューターは万能ではありません。
やはり、ヒトによる補正が必要なわけです。
まとめ
当院ではそれぞれのメリットを活かし、なおかつデメリットを克服できるよう、どちらの精液検査も行っております。いわばヒトとコンピューターの間でダブルチェックを行っているわけです。そのため、時間もかかりますが、手間をかけた分信頼性は高いのではないかと自負しております。
コンピューターによる解析結果だけを鵜呑みにしてはいけません。