Do Repro! 男性不妊応援ブログ

男性のための妊活応援ブログです。男性不妊症かもしれないカップルに役立つ情報提供を目指しています。

無精子症ではどんな検査をしますか? 

 今回は無精子症と診断された際に行う検査についてお話します.

 

無精子症は大きく,「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」の2つに分類され,このどちらかによって治療方針が大きく異なります.そのため,閉塞性なのか非閉塞性なのかを見極めることが重要となります.

 

dorepro.hatenablog.com

 

私たち不妊専門の泌尿器科医は通常,詳細な問診,陰嚢(精巣,精巣上体,精管)の診察,採血(内分泌検査)を行い,両者を鑑別しています.

f:id:dorepro:20160722005617j:plain

 

閉塞性無精子症の場合精子の形成は正常なわけですから,通常,精巣は十分大きく精子の形成にかかわるホルモン値(卵胞刺激ホルモン;FSH)に異常は認められません

過去に精巣が腫れるような病気をしていたり,鼠径ヘルニアの手術をしていれば強く疑われます.また,触診を行うと,精管にしこりがあったり,精巣上体が大きく腫れていたり,あるいは精管欠損の場合は精管が触れません.

 

一方,非閉塞性無精子症の場合,一般的に精巣は小さく,精子形成にかかわるホルモン値(FSH)に異常がみられます.

通常,脳下垂体といわれる場所からFSHは分泌され,精巣に作用して精子の形成を促進します.正常に精子形成が行われていれば精巣から脳下垂体に信号が送られ,FSHは一定範囲内におさまるようになっているのですが,精子形成が起こっていない場合,FSHは上昇します

f:id:dorepro:20160716235704j:plain

 

そのため,非閉塞性無精子症の場合はFSHが上昇していることが多いです.(これに対して脳下垂体からFSHをうまく分泌できていないために無精子症となるケースもあります.低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と呼ばれる病態ですが,このような場合はホルモン補充を行うことで多くの場合,精子形成が誘導されます.)

 

非閉塞性無精子症が強く疑われた場合は,遺伝的な原因がないかどうかの検索を行います(染色体検査,AZF遺伝子検査).

 

しかし実際にはこれらの検査をしても,非閉塞性無精子症なのか閉塞性無精子症なのか判別するのが難しい場合もあるのが事実です.

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29