Do Repro! 男性不妊応援ブログ

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精液の質はうまれてくる子の健康に影響するか?

 不妊男性と先天奇形に関連はあるか

不妊児における先天奇形との相関は複雑で、精液所見が不良である男性の第1度の近親者においては先天奇形による死亡のリスクは上昇したとのことです。この研究は20年ほど追跡調査されています。

12889人の精液検査

精液の質が男性における身体の健康状態の予測因子となると報告されている。今回、精液所見の不良な男性においてその家族における児の死亡の状況を指標にし、不妊をもたらす可能性のある遺伝子あるいは環境因子に関わる理解を深めようと試みた

精液検査を受けた患者の第 1度の近親者 (FDR) と第2度の近親者 (SDR) における児の死亡率を調べた。 1996 ~ 2011 年におけるデータ を収集し後方視的コホート研究を行った。精液検査を行った男性は 12,889 名でそれらに関するデータをデータベースから収集した。 精子濃度、精子数、運動率、総運動精子数、精子頭部の形態、精子尾部の形態および生存率を指標とした。精液検査に関わるデータは 2件の三次医療センターのアンドロロジーラボから収集した。

 アメリユタ州の大きな2つのアンドロロジー(男性科学)ラボ(研究所)にあった精液検査のデータをさかのぼり、検査を行った男性の児と兄弟の児などの死亡率や先天奇形の割合を調べたとのことです。

精液検査が2004 年以降(ユタ州で)実施されたものの 90% ほどが対象となった。男性の大部分は、正常な精液パラメータを有していた。年齢と性を一致させたコントロール 群と比較し、20 歳までの児の死亡のリスクを比較した。精液検査を受けた男性のコホートにおいていずれかの理由で児が死に至ったものはFDR 群においては406 名 (1.0% )、SDR群においては 772 名 (1.1% ) で あった。

正常所見の場合

大部分の精液検査が正常所見の場合は、児の死亡リスクについて差がありませんでした。

精液検査を受けた男性群と コントロール群の男性群における全ての要因について児の死亡のリス クに統計的有意差は認められず、女児におけるハザード比は1.08、男児におけるハザー ド比は 0.88 という結果であった。また、 FDR 群および SDR 群において精液の質と児の癌による死亡のリスクとの相関も認められなかった。

精液所見不良の場合

精液検査を受けた男性群とコントロール群の男性群のFDRを対象にそれぞれ19.71年と19.73年に追跡調査が行われた。この20年の追跡調査の期間中に精液検査を受けた男性のFDRは先天奇形がかかわる死亡のリスクは40%上昇するという結果が得られた。精液のパラメータで分類し出産年度で補正したところ、精液所見の悪化をみた男性のFDRと無精子症の男性におけるFDRにおいて先天奇形が関わる死亡のリスクは上昇し、そのハザード比は2.69という結果であった。(訳 IMT college テキストより引用)

Risk of childhood mortality in family members of men with poor semen quality. 

 

精液所見が不良の男性の子どもの場合、先天奇形が関わる死亡のリスクが、そうでない場合に比べて2.69倍になるとのことでした。

まとめ

無精子症の場合、受精方法は顕微授精であると思われますが、精液所見が不良の場合の受精方法は、タイミング療法や人工授精の場合もあり得ます。 これらの受精方法の場合は、卵子の操作を行っていないためより自然な妊娠方法です。

  ART(例えば顕微授精など)を介して誕生した小児は先天異常のリスクが高いかもしれませんが、それはARTの手技のせいなのか、はっきりしていません。この研究は、先天性の病気がARTに起因するものではなく、むしろ不妊症と児の予後の2つの結果を結びつける遺伝的または環境的要因によるものであるというさらなる証拠を提供するかもしれません。

 

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