毎年冬になるとインフルエンザが猛威をふるいます。予防接種をうっていても罹患することがあるため本当に厄介な病気です。
男性不妊外来をしておりますと、「実は先日インフルエンザにかかったんです」という方をしばしば見かけます。はたしてインフルエンザにかかると精液所見に変化があるのでしょうか?
当院での不妊治療中の男性で、インフルエンザに罹患した方々の精液所見を経時的に調べてみました。結果は表の通りです。
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インフルエンザ罹患前 |
罹患後1-6週 |
罹患後8-9週 |
平均精液量(mL) |
4.2 |
2.6 |
3.0 |
平均精子濃度(万/mL) |
2850 |
265 |
2785 |
平均精子運動率(%) |
46.8 |
23.3 |
66.3 |
インフルエンザに罹患すると1週〜6週で精液所見は悪化しています。中でも精子濃度が著しく低下しているのが分かりますね。しかしながら罹患後8〜9週経過すると精子濃度、運動率ともに改善しているのが見てとれます。
この結果から、【インフルエンザ罹患後は、著しく精子濃度は低下し、運動率も低下するが8週間程度で回復してくる】と言えるのではないでしょうか。
精巣はもともと高温環境に弱いので、インフルエンザによる高熱が原因で精液所見が悪くなったんでしょうね。妊活中の男性はインフルエンザにならないよう最大限の予防策を講じることが大切ですね。