今回は、ヨミドクターからの記事です。
おたふく風邪は、正式には、流行性耳下腺炎といいます。耳下腺とは 顎 の横にある唾液を出すためにある組織です。ムンプスウイルスに感染して起こります。両頬が腫れることから、別名おたふく風邪と呼ばれています。
おたふく風邪の合併症には、無菌性髄膜炎、感音性難聴、脳炎、精巣炎、卵巣炎、 膵炎があります。患者の100人に1~2人が無菌性髄膜炎を発症し、入院が必要となるような状態になります。
また、ムンプス難聴は患者の0.1~1%にみられ、年間700~2,300人のムンプス難聴(高度感音性難聴)が日本で発生していると推定されています。逆に、20%ほどがムンプスウイルスに感染しても耳下腺炎を発生しない(頬が腫れない)というややこしいこともあります。
男性不妊を専門とする泌尿器科医として、皆さんに注目してほしいのが、精巣炎です。ムンプスウイルスの感染により両側の精巣炎になると、なんと精子が出来づらくなり、精巣炎になってしまった30~87%が男性不妊症になる可能性があるのです。
おたふく風邪の原因はムンプスウイルスと先ほど書きましたが、ワクチンがあります。麻疹、流行性耳下腺炎、風疹を予防することができるワクチンは、麻疹(measles)、流行性耳下腺炎(mumps)、風疹(rubella)の頭文字を取ってMMRワクチンと呼ばれます。
かつて、MMRワクチンを使用することで自閉症になる可能性があるという論文が報告されて議論を呼んだのですが、結局のところはその内容が虚偽であることがわかり、論文を発表したイギリスの医師は医師免許を剥奪されたというドラマチックな物語もありました。:::::::::::::::::::::::::::
後編は次回へ。