前回に引き続き、高度乏精子症についてです。高度乏精子症では精子の産生がうまく行われていないと言えますが,これには先天的な原因が多いのも事実です.
(Vincent MC, et al. Cytogenetic investigations of infertile men with low sperm counts:a 25-year experience. J Androl. 2002; 23: 18-22)
この表は2002年に発表された論文から改変引用したもので,無精子症と乏精子症の患者に認めた染色体異常の割合を示しています.
高度乏精子症の場合,染色体異常を有する割合が9.7%と,非閉塞性無精子症に次いで多いことが分かります.
(全出生児に対する染色体異常の発生率が1%未満とされておりますので,これはかなり高い割合だと言えますね.)
残念ながら染色体異常がみつかったとしても現段階では治療可能なものではありません.しかしながら,精子をうまく作れない原因の究明,さらには子孫に対する影響という重要な情報を含むことになります.
これらについて遺伝専門医あるいは遺伝カウンセラーからしっかりと説明を受ける必要があります.
高度乏精子症と診断された場合,顕微授精の前に、必ず染色体検査を受けることをお勧めします.